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8週間のMBSRプログラム

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、ジョン・カバットジン博士(Jon Kabat-Zinn)が、1979年にマサチューセッツ大学医学部で開始した,身体・精神的要因及びストレスに起因する苦痛(suffering)の緩和をめざす,セルフケアのプログラムです.現在世界で最も研究・汎用されているマインドフルネスプログラムとされています。

 

プログラムは8週間にわたる毎週2.5時間の講習(1回は終日)及び自宅での実習(1日45分以上)よりなり, 毎週のプログラムでは、その約半分の時間を使ってマインドフルネスを実践し、残りの半分はその実践及びその週のテーマについてグループでの検討を行います。MBSRへの参加を検討しておいでの方は下をご覧ください。最近の論文や周辺情報を探しておいでの方は、こちらをご覧ください。

 

MBSR研究会では、マサチューセッツ大学・ブラウン大学の講師資格(及び指導者養成資格)を得た2人のインストラクターが、2016年より40回を超えて実施しており、卒業生の数は600人以上にのぼります。過去の参加者約160人の方の集計によれば、私たちのプログラムは海外のプログラムに比肩する結果が得られることが示されています。また、プログラムを終了される方の割合(8回の講習中6回以上の出席者)は95%以上と海外の数字よりも高い結果が得られています。以下に次回の開催情報、参加者のアンケート結果、その他の録画等のリンク、Q/A、参加者の声などを載ました。またMBSRの詳細については、伊藤山本それぞれが日本語概説を書いていますが、そうしたものを読まれる前に、本当にわずか8週間で、智慧やコンパッション(思いやり・労いの気持ち)が育まれるものなのかを、まず実際に体験して頂くことをお勧めします。

  • 次回の開催情報についてはこちらをご覧ください。

  • 2021年初夏のプログラム(5月-7月実施)では以下の結果(無記名、回収率92.6%)が得られました。
    詳細はこちらをご覧ください。

  • 2021年1月16日に実施されたオリエンテーションの録画

  • 効果について:心身医学会ポスターMindfulness誌論文等をご覧ください。

  • 参加頂いた方の感想のより詳細なビデオはこちら

  • 参加するための条件はありますか?
    MBSR8週プログラムは、毎週約2時間半を8週間に加え終日プログラム(約7時間)の合計9回になります。参加の時点で3回以上欠席される場合は終了と認められないため、次回に参加されることをお勧めします。 またオンラインで実施の場合はネット環境が安定し、比較的静かな場所で受講されることをお勧めします。
  • 現在、体調不良で病院に通っていますが、参加できますか?
    MBSRは本来、心身の体調不良、ストレス対処をめざして創られたものですので、どなたでも歓迎させていただきます。こちらの資料の3にある101の試験の内訳は、 身体の不調が47件、 また精神の不調が22件、 その他32件(一般人12件、 学生8件、 医療従事者6件、 高齢者3件、 介護者1件、 教育関係者1件、 囚人1件)と多岐にわたっていますが、 それにも関わらず同様の効果が得られています。ご注意いただきたいのは、MBSRは補完療法であり病気そのものは専門家の手にゆだねて、良いところ伸ばそうとするものです。このため特に精神疾患のために通院中の方のご参加にあたっては、まず主治医の先生とご相談頂き、ご了解と支援が得られるかの確認をお願いしています。
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週コースでは毎週様々な課題があるそうで、すべてをこなすことができるか不安です。
    確かに、毎週様々な課題が出されますが、これらはあくまでも、提案と受け取って頂ければと思います。そういった意味では、”しなければならない”宿題とは異なります。 MBSRはセルフケアのプログラムですので、インストラクターの役割は、道を指し示すガイドあるいは共に探求する同僚であって、最終判断はご自身がされることになります。私たちの言葉はただの招待(もし良かったらやってみて下さい)と受け止め、軽い気持ちで参加頂ければと思います。
  • ヨーガをしたことがないのですが、大丈夫ですか?
    MBSRプログラムで行うヨーガは、初歩的なものですので初めての方でも大丈夫です。また身体の状態や体調に応じて加減して行うことが大切ですので、難しいと感じた場合は楽な姿勢を取りながら実際に行っていることをイメージするだけでも良いと思います。
  • 身体が硬いのですが、ヨーガはできますか?
    むしろ身体が硬いほうが、ヨーガによる変化をより実感することができます。ヨーガは身心一如の原則に従って、身体を整えることで心を整えていく行法です。きれいな形を作ることが目的ではなく、身体にどのように向き合い動かすかの方が重要です。ゆっくりした動作に呼吸を合わせ、動きに伴う感覚に意識を向けて緊張と弛緩を繰り返します。指導者のガイドより、今の身体の状態を優先して無理せず続けることが大切です。(佐保田鶴治、1975)
  • 開催日のうち、1回は予定があって休まなければなりません。補講などはありますか?
    現在のオンラインでの実施では、参加者の方々の許可を得て録画をしています。そのため欠席された場合は、参加者の顔を認識できないよう暈した録画を期間限定でご視聴して頂けます。 また以降のプログラムで欠席した週のみに参加を希望される場合は事務手数料をお支払の上ご参加頂けます。
  • 参加したいのですが経済的に苦しい状況です。参加費用の補助などありますか?
    学生割引や参加費用の補助、分割払いなども用意しておりますので事務局にお問い合わせください。
  • 参加した後の修了証はありますか?
    MBSRは基本的にセルフケアのプログラムであり、研修ではありませんので、ブラウン大学同様、修了証と言う形では発行しませんが、所属機関から参加証明を求められている場合は、参加証を発行します。
  • マインドフルネスは継続が大切と言われていますが、8週終了後にその助けとなるようなプログラムはありますか?
    MBSR研究会のMBSRは毎年3回(春・初夏・秋)に開催されていますが、毎回、終日プログラム(朝10時ごろより午後5時ごろまでのプログラム)が開催されており、8週コースを終了された方には、毎回無料でご参加頂けます。 また毎週1回(45分ー60分)のプログラムも無料で実施しておりこちらにも参加することで継続の一助として頂いています。
  • マインドフルネスを教えるための資格について
    マインドフルネスを応用したプログラムはたくさんあるのですが、その効果を裏打ちするデータが十分ある、確立されたプログラムは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とマインドフルネス認知療法(MBCT)の二つのみといって差し支えないかと思います。 ですので、資格という点でもこの2つのいずれかあるいは両方を学ぶことになるかと思います。現在では、オンラインで海外のプログラムも学ぶことができます。MBSRに関してはブラウン大学のプログラム、MBCTに関してはオックスフォード大学がその代表的なものです。ただ、いずれもかなりの英語力が必要とされます。 日本語で、ブラウン大学の公認講師が実施しているものとしては、私たちMBSR研究会や、東京マインドフルネスセンターで実施している指導者トレーニングがあります。MBSRを教えることができるようになるためには、下に記した3つのステップが必要です。 第1のステップは、MBSRの8週コースを受講することです。その後、リトリートと呼ばれる5日以上の集中トレーニングに参加するとステップ2に進むことができます。 第2のステップは、MBSRエッセンシャルズという名前の、1週3.5時間の10週間コースを受講することです。この際には、MBSR週コースも同時に受講し、その振り返りをエッセンシャルズですることになります。これを終えることで、MBSRの紹介プログラムを実施することができます。その後、リトリートにもう一回参加するとステップ3に進むことができます。 第3のステップは、MBSR IPT(集中プラクティス・ティーチング)という名前の、隔週末の土・日に4回実施される終日のプログラムです。これを修了するとMBSRを教えることができるようになります。 MBSRのような集中的なプログラムではなく、外来で出来るような簡単なプログラムはないかと思われるかもしれませんが、残念ですが効果が検証されたそうしたプログラムは存在しないため、その指導者プログラムもありません。 援助職の方から良くお聞きするのは、ご自身がMBSR8週プログラムを終えたあとで、例えば、呼吸に注意を向けるような短いプラクティスを患者さんと一緒にするといったものです。しかし、そうした場合であっても、少なくとも第2のステップを修了した後で実施することをお勧めしたいと思います。
  • 正式なプラクティスと日常のプラクティスの違いはなんですか?
    正式なプラクティスは、時間をとって実践するプラティスを指し、第1週で学ぶボディスキャン(身体の感覚に注意を向ける)、第3週で学ぶ臥位のヨーガ、第5週で学ぶ静坐(短い呼吸に注意を向けるプラクティスは第1週から)、立位のヨーガ(一部は第1週から)、第5-6週で学ぶ歩行瞑想の4つを指します。 マインドフルネスは注意を向けることですので、すべての日常活動はプラクティスの対象となります。例えば、第1週には、マインドフルに見ること・聴くこと・身体感覚を感じ取ること、心にある思いや・考え、感情・気持ちに注意を向けること、マインドフルに食べること、マインドフルに話すことを・聴くことを体験します。また第2週には、毎日の嬉しい出来事を観察することが課題となり、第3週には不愉快な出来事を観察することが課題となります。 私たちはプラティスという用語を使っていますが、これには練習と実践という2つの意味があります。正式なプラクティスはただの練習ではなく、日常に役立つ実践であるという意味を込めて使っています。日常の中で突然ストレス対応を実践することは簡単なことではありません。ですので、正式なプラクティスの中でまずこれを試して頂きたいと思います。
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)はなぜ8週間なのですか?毎日のプラクティスは45分間必要なのですか?
    MBSRでは、第1週目にマインドフルネスは何かというテーマで、マインドフルに六感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・身体感覚+心)を通じて観察するスキルを学びます。そして自宅で、身体感覚に注意を向けるボディスキャンを1日45分間実習します。 第2週では、ものの見方(捉え方)をテーマとして検討します。実習では、静坐とボディスキャンを実践し、自宅でもボディスキャンの実習を継続します。 第3週には新たに臥位のヨーガを学び、自宅では、臥位のヨーガとボディスキャンを交互に実習します。このように自習の内容は少しずつ変わって行きますが、8週間は、可能な限り毎日45分間の実習をするよう勧められます。 毎週異なるテーマを検討するために8週間が必要であるという側面と共に、プラティスを習慣化するためには、8週間程度を必要とするという側面も多くの方が実感される点です。実際8週間を終了した多くの方はその後もプラクティスを続けているというデータがあります。 なぜ、45分が必要かという点は多くの方から問われる点です。一つの答えは、MBSRのすべてのデータは自宅実習の長さとして45分を勧めてきた結果であり、これを仮に20分とした場合のしっかりしたデータがないことがあげられます。ただ、実際の自宅実習時間の平均は海外で30分程度、われわれのデータで40分程度です。実際には、8週間の間は45分をめざし、できる範囲で実践して頂くことになります。 一方、カバットジンさんはもし仮に20分間心地良く坐ることができるのであれば、その時間を超えて坐ることを勧めると言われています。なぜかと言えば、そうすることで、イライラ、不快感、疑いなど、あって欲しくないものと出会うことができる。それがストレス対処の練習となり、そのことが日常のストレス対処の実践につながるからであると言われています。ここが正式なプラティスと日常のストレス対処のつながりとも理解できる言葉です。
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)には、一般と専門職(医療・教育等)の区別なく参加するとのことですが、専門家と一緒に参加することに気後れを感じます。
    MBSRはもともと特定の病気や特定の人を対象に創られたものではなく、様々な原因による苦痛(ストレス)に対処する普遍的な方法として開発されました。専門家は確かに、その道の専門家ではありますが、人生で出会う身体的、精神的な苦痛やストレスには、同じように出会い対処することが必要です。 MBSRは、年代、職業、性別、社会環境が全く異なる方達が同じ場に集まり、同じようにマインドフルネスを学ぶことで、人や社会の多様性の意義を肌で感じられる稀有な機会でもあります。人はみんな違っていながら、そのことが大事であることをMBSRの場で体験いただければと思います。
  • マインドフルネスにはいろいろなプログラムがあります。マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の位置づけについて教えて下さい。
    MBSRはジョン カバットジンさんが1979年にマサチューセッツ大学医学部で開始した, 8週間にわたる毎週2.5時間の講習(1回は終日)と1日45分以上の自宅での実習よりなるプログラムです。もともとは、様々な治療をしても十分な症状の改善効果の得られない患者さんに対して実施されたものですが、現在は、より広く身体・精神的要因及びストレスによる苦痛の緩和をめざして実施されており、現在世界で最も研究・汎用されているマインドフルネスプログラムと言われています。 現在世界で実施されているマインドフルネスプログラムは多かれ少なかれMBSRの影響を受けていると言っても過言ではないと思われ、マインドフルネスを自身のために体系的に学びたいあるいは将来指導したいと考える方にとって必須のプログラムと考えられます。
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)も様々な機関で学ぶことができるようですが、それぞれの違いはありますか?
    MBSRはマサチューセッツ大学でジョン・カバットジンさんにより創られ、その後2000-2017年までサキ・サントレリさんがマインドフルネスセンター所長として指導者養成プログラムをふくめ継続されました。その後マサチューセッツ大学の主要なスタッフはブラウン大学に異動し、現在はブラウン大学がMBSRの研究や教育の主要な拠点となっています。私たちは、両大学で指導者の資格を得その後、指導者養成プログラムの実施資格を得ました。ですので、私たちのMBSRはその流れを反映したプログラムと考えています。 一方、MBSRはマニュアル化されたプログラムではないため、インストラクターが誰であるかにより提供されるものも大きく異なると言われています。そのため私たちは、毎回参加者の方の協力を得てプログラムの評価を行ってきました。その結果、私たちのプログラムが海外のものに比肩するものであることを確認できています。 他の施設で実施されているMBSRについては十分な情報がありません。なお、MBSR以外にもたくさんのマインドフルネス関連のプログラムがあります。様々なプログラムを受けることは意味があると思いますが、その際にはそのプログラムに関するしっかりしたデータがあるのか否か、またそのインストラクターがどれだけの経験を有しているかを確認されることが大事だと思います。
  • 私は専門職(医療・教育など)に従事しているので、一般のプログラムではなく、指導用のプログラムを学びたいと思います。このようなプログラムはありますか?
    一般に、マインドフルネスの習得には3つのステップがあるとされています。第1のステップは、自らがマインドフルであること(being mindful)、第2のステップはマインドフルに人(患者・生徒など)に接すること(treat/teach mindfully)、第3のステップはマインドフルネスを教えること(teach mindfulness)です。 MBSRを開発したジョンカバットジンさんは、マサチューセッツ大学で解剖学を教えていましたが、医療の専門家ではありませんでした。むしろ、禅やヨーガやビパッサナー瞑想の専門家としてMBSRを開発しました。そうして創られたMBSRは今も殆ど変わっていないと言われています。 ですので、専門職での応用は一旦横において、まずカバットジンさんの考えるマインドフルネスをMBSRを通じて体験し、その意義を体験された後で、次のステップをご検討頂ければと思います。
  • なぜ呼吸に注意を向ける(意識する)のですか?
    マインドフルネスということばの語源である、パーリ語のSatiについて書かれた経典(satipatthana sutta:四念処経)では、注意を向ける最初の対象が身体ですが、その中で呼吸を最初の対象としています。また坐禅でも調身(姿勢を調える)・調息(呼吸を調える)・調心(心を調える)といわれ、呼吸が大事にされます。 マインドフルネスは今・ここにあるものに注意を向けることなので、その対象が呼吸でなければならない、ということではないのですが、呼吸に注意を向けるだけで、呼吸数が少なくなるというデータがあり、また呼吸数の低下は生理的・心理的指標に良好な影響を与えるとのデータもあるので、注意を向ける対象として呼吸を選択することには意味があると思われます。一方何かの理由で呼吸が不適切な場合には、身体の他の部分の感覚にもあるいは音をその対象とすることもできます。
  • マインドフルネスは、注意(意識)を向けること、と言われています。私たちの普通の注意の向け方とどう違うのでしょうか?そうすることがどうして役に立つのでしょうか?
    カバットジンさんは、3つの点(howとwhat)で通常の注意の向け方と違うと言われています。 1.意図して注意を向ける点:私たちは通常は注意を向けていることを意識しません。意図して注意を向けると、自分のことも、周りのことも良く見えて、新たな発見があるかもしれません。ありふれた、あたりまえ(と思っていた)日常が彩りを帯びてくるかもしれません。 2.今の瞬間(の体験)に注意を向ける点:私たちは多くの時間を、過去の出来事や未来の予定について考えて過ごしています。今に注意を向けることは集中力の向上に繋がります。また、ああでもない・こうでもないと(反芻)、悪い方に悪い方に(破局化)考えるといった習慣からの解放につながるかもしれません。 3.評価に囚われず注意を向ける点:私たちは、例えば人に会えば、近づきたい人なのか・遠ざかりたい人なのか・どちらでもないのかを瞬時に判断して一日を過ごしています。それは過去の条件付けによる快・不快・どちらでもないという無意識の判断に基づくことが多いわけですが、もし、そこでそうした評価を一旦横において、その状況や人あるいは自分をフレッシュな眼で好奇心を持って観察できれば、そうした快・不快という感じ方が変化するかもしれませんし、そうして感じ方に基づく行動も変わるかもしれません。ストレスとなる状況の捉え方(関係)が変わることは、ストレス対応に役立ち、新たな行動は自らの可能性を広げてくれるかもしれません。 以上の3つの点で通常の注意の向け方と違うのでトレーニングが必要になるわけです。
  • それでは上のようなやり方で注意を向けることがマインドフルネスだと考えて良いのでしょうか?
    カバットジンさんは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の枠組みの中で理解する限り,マインドフルネスとコンパッション(オープンな優しく,暖かな心持ち・姿勢)は、本質的にはひとつながりのものと言われています。ですので正式なプラクティスや日常のプラクティスの中でこ注意を向けるスキルとともそうしたの姿勢も習得して行きます。 またこの姿勢は,MBSRで重要とされる9つの姿勢- 評価に囚われない(non-judging),忍耐(patience),初心(Beginner’s mind), 信頼(trust),無理をしない(non-stiving),受け入れる(accepting),手放す(letting go/be), 寛容(generosity),感謝(gratitude) - とも関連しています。
  • マインドフルネス瞑想とサマタ瞑想の違いは何ですか? また集中瞑想とチョイスレスアウェアネスとの違いは何ですか?
    仏教瞑想は大きく2つに分けることが一般的とされています。一つはサマタ瞑想で完全な集中により対象と一つになるサマディ・三昧(禅定)をめざします。他の一つは、洞察瞑想(ビパッサナー瞑想・マインドフルネス瞑想)であり、身体感覚や心を観察することで、無常・無我・苦の理解といった生きる上での智慧を養うことをめざします。 集中瞑想という用語も良く使われます。呼吸などの特定の対象に集中することはサマタ瞑想でも洞察瞑想でも良くやられます。前者は呼吸等と一つになることをめざし、後者は呼吸等を継続して観察することをめざします。 マインドフルネスストレス低減法(MBSR)では呼吸に伴う感覚を観察すること(洞察瞑想・マインドフルネス瞑想)から始めますが、それが進めば呼吸と一つになる感覚を感じることがあるかもしれません。そうした場合には、サマタ瞑想の要素も含んできます。またMBSRでは第5週からチョイスレスアウェアネスと呼ばれる対象を定めず、意識に上るものに注意を向けるというプラクティスも行いますが、これは洞察瞑想の一つです。チョイスレスアウェアネスはオープンアウェネス・オープンモニタリングとも呼ばれます 大まかに言って、サマタ瞑想は大乗仏教の一般的な瞑想法とされ、洞察瞑想(マインドフルネス瞑想)はテラワーダ仏教の瞑想法とされていますが、テラワーダ仏教においても100年程前までは、サマタ瞑想を修行したのち、洞察瞑想に移っていたとするものもあります(N. Thera: The Heart of Buddhist Meditation)。 こちらの文献もご覧ください。
  • マインドフルネスの効果は、様々に示されているようですが、その仕組みは分かっていますか?
    仕組みの理解に助けとなるよう、”マインドフルネスはどのように苦痛を変容させるのか(Teasdale,Chaskalson,2011)”という論文の内容を解説してみます。 この論文は2つの点で読む価値のある論文です。一つはなぜマインドフルネスで、苦痛が軽減されるかが3つの観点から分かり易く説明されている点と、それらとMBSRで学ぶ注意集中瞑想と洞察瞑想(狭義のマインドフルネス瞑想)との関連を理解する助けとなる点です。 苦痛を軽減する第一の戦略として、心が処理する内容を変えることがあげられています。心を向ける対象(what)を苦痛を伴う体験から、身体の呼吸に伴う感覚に変える(転換する)ことが例としてあげられています。こうした特定の対象に注意を向け続けるプラクティスは注意集中瞑想と呼ばれますが、対象の転換が苦痛を変容させるというのは分かり易い説明だと思います。マインドフルネスの定義との関連では、”今(の体験)に”注意を向ける(転換する)ことと主に関連します。この戦略においては、心構えがとても大切です。それを苦痛から逃れるためするのではなく、今の体験に注意を向けることが大事だからするという心の持ち方が大切です。頭に浮かぶ様々な思いや考えを“それはそれとして“本当に大事なことの探求に転換するという心の持ち方が大切です 一方MBSRで注意を向けるスキルと共に大事なことは、その姿勢といわれます。この姿勢と関わってくるのが第2の戦略です。体験が不快なものであっても、興味と好奇心をもって意図的に許容する(そこにいて良い)といった姿勢(how)です。こうした姿勢の変化が不快な体験との関係性を変えてくれるかもしれません。ただし、日常で不快な体験に遭遇した時にその場でこの姿勢を養うことはとても難しいことです。幸いなことに単調な(に見える)正式なプラクティスの最中に、様々なものに注意が逸れることは数えきれないほど頻繁に起こるので、その際に優しく何度でも戻ることがこの姿勢を養うことに大いに役立ってくれます。マインドフルネスの定義との関連では、何がそこにあっても“評価に囚われず(批判的にならず)”に注意を向けることと主に関連します。 第3の戦略が、その体験に対する見方(view)を変えるというものです。ここでは、不快な体験に埋没するのではなく、MBSRでするように3つのレンズ(身体感覚、思い・考え、感情・気持ち)で観察すること(洞察瞑想)が例としてあげられています。 習慣・条件付け・先入観・信念の枠を外して見る見方(MBSRの第2週のテーマ)もこの戦略の一つとして考えて良いでしょう。マインドフルネスの定義との関連では“評価に囚われず(批判的にならず)”に注意を向けることと主に関連します。 またこれらに加え意図して、その時の自分にとって滋養となるような行動(例えば、運動、睡眠、友人と話す、適量のアルコールなど)をとることで、リフレッシュしたあとで、苦痛に対処することを第4の戦略と呼んでもよいかもしれません。
  • マインドフルネスの安全性は確認されているのでしょうか?
    マインドフルネスの安全性については、オックスフォード大学マインドフルネスセンターの検討が役に立つと思います。こちらの日本語の概略を参照下さい。 MBSRについては、MBSR群と対照群の間で有害事象の発現頻度に有意差がないこと(Wong, Chan, Zhang, Lee, & Tsoi, 2018)、あるいはMBSR群でむしろ少ないことを示唆する報告(Hirshberg, Goldberg, Rosenkranz, & Davidson, 2020)があります。
  • マインドフルネスとトラウマに関連はあるのでしょうか?
    特に長期間のリトリートで集中的にマインドフルネスを実践した際に、トラウマが悪化・表面化する可能性が、報告されています(Treleaven, 2018) 。 一方、MBSRをPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)の治療として評価した比較試験では、対照群と比較してトラウマが悪化する傾向は認められていません(Kearney & Simpson, 2020)。 しかし、MBSRの基本は治療ではありませんので、トラウマを含む精神的な不調で通院を必要とするような場合には、まず主治医にMBSRの参加が適切かどうかを相談することをお勧めします。 一方、軽度のトラウマは多くの人が経験するものです。MBSRはそうした過去の体験のみならず、現在・未来を含む、”あって欲しくない体験・なければ良い体験”にどう対応するか、それらとどのような関係性を持つかを体験的に学ぶプログラムです。必要に応じインストラクターと連絡をとりつつ、無理のないやり方で対応力を養うプログラムです。

プログラム参加者の声

女性 60代

痛みにとりつかれなくなりました。

医師 40代

自分と親密時間を持つことができた。多忙な日々の中、あきらめていた面があったが、自分で自分の人生の舵をとればよいことを思い出せた。

参加者

これまで、ストレスに対応していると思っていましたが、ストレスに反応しているだけだったと気づきました。それだけでも、私にとって、大きな気づきですが、私自身が、どう対応するかを選べると想像すればするほど、勇気が溢れてきます。

参加者

自分を知る事で本当のサイズや物事を知り、余計な物に惑わされにくい様に思います。なので、ストレスが減って心地良い時間が増えた。

看護師 30代

人との関わり方が大きく変わった。それは"外"を知ったということではなく、"内に自分"を知ることにつながったからだと思う。

女性 50代

以前はいつもイライラして直ぐに心臓がドキドキしていましたが、芯から落ち着くようになってきました。ヘルパーとして介助している人と一緒に呼吸に注意を向ける練習をやり始めたところ、その方の気分の変動が少なくなって、殆どベット上で暮らしていた人が昼だけですが、ポータブルトイレを使うようなって来ました。起き上がれない人でもできるところが良いと思います。

女性 80代

ボデイスキャンを何気なく聞いていました。自分の足にけがをして気づきました。足の方から頭の先に進み、また体全体に注意して見るとなに一つ無駄なく 24時間一日も休みなくこの体を守ってくれるけなげな、なんと働き者か。足のうらは、一度も日の目を見ることなく不足も言わずもくもくとずっとついて来てくれています。体の中身の五臓六腑も力を合せ頑張っている姿がうかびストレスなんてなんとぜいたくななやみと思ふようになりました、、、身の丈にあった生活にまん足です。腹八分目の食事でストレス様にあやまります。(許可を得て、当初の記載に変更なく転載)

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